最近試飲したものから

クロ・ヴジョ89年
さくらんぼの熟した香りが最初は菌のヴェールに少々包まれているが、よく熟成していて、イチジクのような香りに変化してきている。大変芳醇で甘味がある。同時にわずかにアルコールも感じる。 非常に熟した年としての影響を受けた要素が詰まった中に素晴らしいハーモニーを生み出し、魅惑に駆られるワインでもある。

クロ・ヴジョ91年
全く89年と同じく魅惑たっぷりのワインで大きな驚きだ。このヴィンテージを再評価することを惜しまない。誰も思いもしないことだったが・・・。 このワインは実際とてもバランスがよく、余韻が長くアロマは熟していて甘味がある。瓶詰めしてからの最近の傾向として、最初は予想もしなかったようなバランスと緻密さが出てきたことだ。

ニュイ・ミュルジェ97年
97年全般が飲みごろだよ、と言っても別に誰も驚かないだろう。しかしながら最近までまだ十分に飲める状態で無いと私達は判断していた。まだほんのわずかな攻撃的な要素が残っていたからだ。しかし、ここでは果実は熟れ、味わいは充実しており、満足の行くバランスを見せている。もしこのワインを手始めとして97年を飲むならば、ドメーヌもので成熟の度合いがよりゆっくりとしたコルトンやヴォーヌ・ブリュレのようなタイプのワインも飲み始めることができるはずだ。

ヴォーヌ・クロパラントゥ92年
この年においてはドメーヌのワインの全体を通してみても少々荒れている感じがある。だが、このことが繊細さやレースのようなストラクチャーを台無しにしてしまうことは全く無い。アロマは熟した年にふさわしいもの。力強く、大変バランスが良い。もちろん92年のヴィンテージはゆっくりと進む熟成の模範ではないが、このワインは飲み頃。「古いワイン」と表する人もいるが、正直言ってこの年にとっては驚くことはほとんどない。
ニュイ・サンジョルジュとクロ・ヴジョ99年
この年について指摘すると、味わいの深いワインであること。もちろん、取り扱い上、気をつけていることは、飲む30分から60分前に栓をあけること。 ニュイ・ミュルジェは丸みがあって、ストラクチャーがあるにもかかわらず、飲みやすいタイプ。楽しませてくれるワイン。 クロ・ヴジョはより控えめであるが、とっつきやすさを持っている。絹のような滑らかさと成熟度、ワインの全体的な統一性は見事で素晴らしい。 それでもだまされないように。 この2つのワインのストラクチャー(実際ワインの堅さを語ることはできない) が、とても美しいポテンシャルを保証している。


クロ・ヴジョ96年

酸はしっかりとある。ワインも近づきやすい傾向になってきた。香りに成熟度が現れており、複雑味のある印象を与えている。明らかにこのワインは99年ものより厳格だが、かなりゆっくりと熟成の進むヴィンテージにしてはそれなりの進み具合と言えよう。

 

ニュイ・ミュルジェ89年
出来は上乗。しなやかさとエレガントさが試飲する者を捉えて放さない。熟した果実やスパイス(特にシナモン)のアロマがやはり現れていて、別の世界にいるような困惑すら感じる。熟成がより進んだワインの一つだ。