成は醸造が終了次第始まる行程だ。ワインが最後の糖分を発酵させて醸造が終了ということになる。この段階では、ワインは酵母を含んでおり、まだコロイドの自然成分なども含んでおり、最高に濁っている状態だ。

の時点では、味わいからして、まだアロマのはっきりした要素も繊細さも出てはいない。熟成の果たす役割は、濁った産物をワインという輝く液体、それも繊細で複雑な味わいの液体に変容させていくということだ。

の作業におけるワインの絶好の協力者と言えるのは、もう一つの自然の尊い産物、樫の木である。実際、樫の多孔性がワインの酸素添加をゆっくりと進ませることを可能にし、さらにタンニンが洗練されて香りのブーケが生まれることにも一役かっている。

樽はワインに肉厚でしっとりした質のタンニンをもたらす。並行して、樫はワインの中にブーケを豊かに醸し、アロマの成分を溶かし込んでいく。このことは新樽をどれだけの比率で使用するかということと、木の出産地、また樽のこがしの質にも左右されるものだ。

ルコール発酵を終えて数ヵ月後、樽は2つ目の発酵のプロセスに入っていく。 マロラクティック発酵だ。この発酵は、ブドウから出たリンゴ酸が乳酸に変わるという行程だ。これにより、リンゴ酸からくる堅さがなくなり、ワインに大きな丸味をもたらすことになる。マロラクティック発酵は、長期熟成タイプの赤ワインの安定化にとって、無くてはならに行程だ。

般的に、熟成は15ヶ月〜18ヶ月かかる。この間に、澱が樽の底に集められることにより、ワインの濁りは減ってくる。

の澱はワインの酸素還元のバランスをとる重要な役割を果たすものだ。この 澱があることによって、ワインの酸化を防ぐことが出来るのだ。このような理由から、私はできるだけ遅く澱引きをすることにしている。だいたい瓶詰めをする数ヶ月前だ。この時期になると、澱は単に流すだけでワインから除くことが出来る。

ャンボール・ミュジニーのワインは繊細でエレガントだ。樽香は自然なままを尊重している。ヴィンテージの持つパワーにより、15〜25%の新樽がヴィラージュものには調度良いと思っている。この位が、ワインの繊細さを損なうことなく、ブーケを豊かにすることができるからだ。この比率の新樽だとワインの力強さを増すこともできる。このように、一定して25〜40%の新樽をプルミエ・クリュに、40〜50%の新樽をグラン・クリュに使うようにしている。

詰めはフィルターをかけずに行う。できればコラージュ(清澄)もワインの良さを最大限に尊重するため行わないようにしている。