999年、世紀の年?

数字のジンクスには驚かされるばかりだ。1999年のワインが生まれる前から、多くの人がすごい年になるとすでに宣言していた。

9のつく他の年と同様に1999年は類を見ないヴィンテージになるだろう。この定説を守り通そうとする者は、次の伝説の年、1929年、1949年、1959年、1969年といった当たり年に加え、とても素晴らしく敬意を表すことを惜しまない1919年、1979年、1989年を挙げることだろう。 私には、数字をとやかく言うことで、ワインの将来を決めることには無縁だが、それにしても明らかなのは、1999年は大変素晴らしいヴィンテージであると断言できることだ。

I春が早くやってきて、湿気も多かったため、平年よりもブドウの成長が早く進んだ。元気に伸びて、開花期は早まり、5月末ではかなり湿度のある天候ではあったが、この年のブドウの成分を生み出すのには十分だった。

結果は、大量収穫になった。 開花期が順調で、7月末まで続いたベトカビ病以外はブドウの健康上ほとんど問題は無かった。8月と9月の適度な暑さと、2ヶ月間の乾燥がブドウの成熟をさらに進ませてくれた。

収穫された量の裏には、この年は他の年に比べてブドウ生産者が何回も作業を重ねなければならなかった事実がある。すなわち、一つの株にブドウの房がなりすぎてしまうと、理想的な成熟に至ることを妨げてしまうからだ。 7、8月にかけて、多く出来すぎたブドウの房を刈り取る作業も結構大変だった。

このいわゆる「ヴァンダンジュ・ヴェルト〔摘房〕」の後、9月12日に含有糖度がすでに高くなっていることが分かり、(区画によっては11度から12度の糖度)素晴らしい酸度も検出されていたので楽観的になっていた。

1999年で残念だったのは、ヴァンダンジュを始めて最初の10日間のうちに突然大雨が降ってきたことだ。9月23日にヴァンダンジュを始め、嵐のような雨が降ってきたのですぐに作業は中断された。この水のせいで、数日後には糖の含有率が下がってしまった。

その年の成功は状況によるが、ブドウ畑をいかに良い状態に維持管理していくことができるか、にかかっている。事実、自然の持つ活力は植物の成長サイクル、畑の寿命を延ばし、雨により敏感な畑をつくる。

数年前からドメーヌ・ルミエでは、収量を低くしたり、ブドウの成熟度を調整したりして、結果として凝縮感と自分たちのワインのテロワールが持つ特徴を表現できるように努力している。

この1999年は努力の年月の結果が完璧に反映している。実際に雨が降った後の糖分の減少にもかかわらず、ワインは希釈されることなく、反対に深く美しい色合いとリッチな香りのブーケ、ゆったりとしていて、大変ストラクチャーのはっきりしたワインに仕上がった。 現在ワインはまだマロラクティック発酵が始まっていない。 だから試飲できる状況で試飲することはまだ不可能だ。しかし、素晴らしい当たり年の大きなパワーを秘めているワインであることはすでに分かっている。