オートクチュールのブドウ畑

ここ10年でブドウ畑はかなり複雑化してきている。いつも自問自答しつつ、私達は経験を積んでいる。作業は膨大になり、より細かく継続した研究が必要になってきた。

摘房や収穫時の選別、これだけでもかなりの作業時間を取られるが、これだけと言うわけではなくなった。それよりも前の段階、剪定から時間がかかるようになってきている。

確かに、短くすればいいだけなら、話は簡単だ。だが、葉にまんべんなく日が当たるようにし、かつブドウの房の周りに空気が循環するようにするには、長めに剪定しないといけないのだ。もちろんたくさん房が付き過ぎないようにつぼみや枝を落としていくことも大事だ。補足作業が細かくなってきているのだ。例えば剪定バサミで手作業をしていくことに加えて、異なる時期に作業を展開していくこと、それもそれぞれのブドウにあった管理をしていく上での話だ。機械化は、すでに困難であったが、今や不可能になっている。
この作業はさらに葉がつき、成長している際に枝と枝を離し、交じり合うのを避けるため何回か繰り返さなければ(4回まで)意味の無いものになってしまう。ブドウはつる植物なのでつるが伸びられるところどこでも伸びていこうとする。この点については、ブドウの成長を邪魔することも必要になってくる。

同様に、葉のつき方に関しても高さを調整して、低いところに茂っている葉を取り除く作業を行う。これによってブドウの成長を促すゾーンの空気循環をよくし、より良い成熟度をもたらす。高部にある葉は実際に季節の終わりには一番成長著しいところだ。というのも一番若いから(普遍の法則)。これがまたやっかいで、葉がブドウの糖分を蓄積させるのだ。
そこで、また細かく作業を手配しないといけない状況になってくるのだ。

さらに、環境とのよりよいバランスを追求していくこともお話できるでしょう。 環境は今や私達をバイオ(有機)栽培へと駆り立てている。除草剤を使用せず、今は何がもっとも実用的であるかを認識していかないといけない時であろう。 (庭を持っておられる方は私が何を話しているかお解かりでしょう。) 鋤を使っての耕作が年に5回必要。トラクターだと地面を堅くするので再び馬を導入していること。次の段階では人間ががむしゃらに働くようになる? 一世紀にわたってブドウ栽培者の労を軽くさせたすべての機械の発達を廃止しながら昔のやり方に戻って進めていかねばならないはず。なんという皮肉・・・。 今日ではこうした強制作業は別に強いられているわけではなく、むしろ品質にかかわることから求められている節がある。私達の顧客の方々によって可能になっている作業であり、私達のワインをひいきにしてくださる彼らの志向がよりすぐれた完璧さを生んでいるのだ。ありがとう!